2025年03月29日

橋和 展 講演会

2025年3月8日から4月20日まで
岩手県花巻市の萬鉄五郎記念美術館にて
橋 和 展 が開催中です。

(展示会場の様子はこちら)
http://blog.joryugakakyokai.com/article/191300088.html




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3月23日(日)には
橋和氏による講演会 が行われました。

多くの方が来場。
一般の来館者に加え、女流画家協会関係者や橋氏の知人も駆けつけ、会場は満席となりました。

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(橋和委員)



橋和 講演会

「作家生活70年を振り返る」


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美術大学時代


「盛岡短期大学美術工芸科油絵科で3年間、さまざまな先生に学びました」と橋氏。

「深澤省三先生、深澤紅子先生(女流画家協会委員)、佐々木一郎先生などからしっかりと人体デッサンを習いました。そのおかげで、上手くはないけれど、なんでも描ける力が身につきました」

また、小池岩太郎先生の特別講義で学んだことも今の作品作りに大きな影響を与えている、と。

「バウハウス理論や平面構成・立体構成を教わり、それが今でも作品づくりに生きています。

ある素材から他のものを作り出す発想について、形を変えたり、重ねたりすることで新しいものが生まれる。この考え方が、ずっと作品作りの原点になっています」と語り、その独自の視点が現在の作品に反映されている様子がうかがえました。


また、学校卒業間際のエピソードとして
クリスマス用の看板作成のアルバイトで盛岡のある屋敷に行ったことがあり、その人はなんと原敬氏の末裔だったことなど、楽しいお話が続きます。




就職と仕事の話


「中学校教師をした後、上京。
12年間、製薬会社のデザイナーとして働きました。

フリーになってからは新聞の挿絵や、
土沢出身の佐々木幸三氏のアドブレーンからのイラスト依頼を受けていました。
また、YWCAの講師も務め、自分の教室を作り、現在も教えています」

挿絵画家になりたかったが時代物、西洋・現代などジャンルが細かく分かれていて、例えば時代物であれば刀の置き方一つとっても時代考証を徹底的にしないと仕事にならない。今のようにネットで検索などがない時代なので神保町の古本屋に行って文献を探す。それはご自分には向いていないと思ったそうです。


また、お金のことを考えて仕事をした時期もあったが
その時はスペインの白い風景画(スケッチ)を描いて売っていたそうです。
しかし大抵はあまりお金のことは考えず、心のまま生きてきたとのこと。

「どうやって生きてこれたのか?
よく覚えていませんが、なんとか生きてきました。(笑)

絵以外の仕事をしたことはありません」

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海外へ−南米への旅


「海外に行ったのは40歳を過ぎてから。今さらフランスという感じではなかったので、南米へ行くことにしました。もともと興味があった、マチュピチュやクスコに行きたかったからです。

南米が好きな理由は、民族が日本人と同じモンゴル系で親しみを感じたから。

クスコは「世界の中心」、日本から遠く、時には「このまま日本に帰れないのでは」と思うこともありました。その後もスペイン語圏を旅し続けました。

ボリビアの遺跡では、ガイドさんが聖域に入る前にバスから降り、チチャという酒を捧げて祈る姿が印象的でした。また、民族衣装を着た女性たちのデモを見かけました。古典的な衣装と現代的なデモという行為の対比がとても面白かったです」






絵の変遷


「絵の変化については、自分でもなぜ変わったのかわかりません」と語り、会場から和やかな笑い声が(笑)

萬鉄五郎記念美術館の平澤館長から
「柿渋を使うようになったきっかけは?」との質問にも

「なんでだろう?忘れました」と笑いながら答え、再び場内を和ませました。

「でも、油絵はあまり得意ではなかったので、柿渋を使うようになったのかもしれません。
近年の作品の茶色は、バルセロナからグラナダへ行く飛行機から見た土地の色が影響しています。南米とはまた違う茶色でした。
プラド美術館では、茶色で下地を作っている作品を多く見て圧倒されました。自分にはできないと思いましたし、それが自分に合っているのかもわからなかった。そこで、自分流にキャンバスにヤスリをかけ、ジェッソや柿渋をかけたりしています。ほかにも都染の染料の藍を使ったり、墨や油絵具を組み合わせたりしています。柿渋は奈良から取り寄せています」

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作品「風跡」シリーズについて


「風跡」というタイトルは、「遺跡」と「風」を組み合わせた言葉です。
風は時、跡は遺跡=大地を表しています。





館長のお話


「展示について、本館にはペルー時代〜「風跡」シリーズをまとめ、
2号館(八丁土蔵ギャラリー)には若い頃の作品を展示しました。
作品を見ていると、年代を経るごとにどんどん若返っているので驚きます」

また、橋氏はもうすぐ90歳になりますが
一人で東京から来て元気に行動される姿にも驚かされたと話されました。





最後に


「作家生活70年と言われても、ピンとこないですね」と。

「絵描きにとって健康は大事。
とはいえ、何も考えていませんが(笑)」


最後に、
絵を描くことについての思いを語りました。

「役に立たないことをするのが好きです。それは最高に贅沢なことだと思います」と、創作の自由さや自己表現の大切さを話されました。

さらに、「描いても描かなくても辛いなら、描けばいい」と。


そして、
「銀座K'sギャラリーで展示をする抽象作家や女流画家協会の皆さんからは、いつも新しい視点や励みをもらえます」と語り、仲間たちとのつながりが自身の創作活動にとって大切であることを改めて実感している、と話されました。


女流画家協会のみんなと撮影。

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K'sギャラリー増田さん(前列右端)も一緒に。

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新聞社、TV局の取材を受ける橋氏

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(寄稿:中嶋しい)
posted by joryugakakyokai at 11:27| 作家日記

2025年03月28日

橋和 展 -萬鉄五郎記念美術館-

2025年3月8日から4月20日まで
萬鉄五郎記念美術館にて
(岩手県花巻市東和町土沢5-135)

橋 和 展 が開催中です。

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本館入口の扉。
取っ手がパレットの形でした♪黒ハート

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2号館(八丁土蔵ギャラリー)
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橋和 講演会「作家生活70年を振り返る」の様子はこちら
http://blog.joryugakakyokai.com/article/191299832.html
posted by joryugakakyokai at 17:49| 作家日記

2025年03月05日

3月定期委員会

数日前までの暖かさが一転、
夕方から雪が降り、東京は寒い1日でした。


東京都美術館
スタジオにて定期委員会を開催いたしました。

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いよいよ始まる78回展に向け、
審査基準の確認、
搬入審査のタイムスケジュール、
各部屋の担当者一覧の確認、
どの賞をどの部屋に展示するか、などなど(先に場所を決めておきます)。
毎年のことですが、間違いのないよう確認しました。

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そして、地方展について。

今年も山梨展の開催が決まりました。

2025年8月9日(土)〜14日(金)

山梨県立美術館ギャラリーB,C
となります。
(昨年はAもあり)

出品者につきましては
委員・78回展受賞者、山梨県在住の本展出品者から希望者を募る予定です。

山梨県の作家の皆さま、
ぜひ本展への出品をお待ちしております♪


posted by joryugakakyokai at 08:25| 委員日記

2025年03月03日

2025年第78回展女流画家協会展ポスター・チラシ


2025年第78回女流画家協会展
搬入日は5月25日(日)です。



ポスター

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チラシ
<表>
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<裏>
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posted by joryugakakyokai at 00:00| 女流画家協会展

2025年03月02日

News 女流画家協会 会報vol.16を発行しました

会報vol.16を発行いたしました。
出品者の皆さまには出品要項に同封しております。


webでもご覧いただけます。


https://joryugakakyokai.com/gaiyo/pdf/kaiho_16.pdf


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郵送ご希望の方は、事務所までご連絡ください。







posted by joryugakakyokai at 14:37| 委員日記

2025年03月01日

2月の研究部の様子

今月の研究会の参加者は28名でした。
最近の寒波で寒い日でしたが1月と変わらない人数でしたので、会員の熱心さを感じました。
最近の会員の方々のデッサンを見まして「上手になったな」と思い、継続は力なりを実感しています。何年も研究会に参加している方や1年間休まず来ている方も大勢います。私も頑張らないといけません!

今月の講師は辻井久子委員でした。アーチストトークは作品制作には「前進する勇気」が大切ですという、実感のこもったお話でした。作品講評も作者と共に話し合いながら講評をしてくださいましたので、皆さん納得していました。
本展も近づいてきましたので、気持ちを引き締めて研究会を催したいと思います。

  

研究部 黒沢裕子



2月のアーチストトーク
11月研究部 講師:辻井 久子


私は生まれた時から股関節が正常に入っていなくて臼蓋形成不全でした。
30代から個展を始め、40歳前から女流展に出し始め、50歳ごろから介護も入り体重が増え、ほとんど泳げなかったのですが水泳を始めました。クロールで50m位泳げるようになった頃、飛び込んでみないかということになり、スタート台に立ちました。用意ドンで飛び込めません。とても頭から飛ぶことができません。見かねたインストラクターが水の中から私の手を取り、私をプールサイドに座らせ、頭から水の中に入れという。それが怖くて怖くて、首を横に振って振って。そしてついに自殺する思いで ドブン!と入りました。あっ! 何でもない! 飛び込まなければ始まらない。

絵をかいていても前に進むには勇気がいります。答えがわからないところに向かっていく勇気がいります。「持続は力なり」を信じて、素直な気持ちが画面にでるように、前に進む勇気をもって描き続けていきたいです。


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第77回女流画家協会展出品作「栖の譜(風に吹かれて」(100F)


posted by joryugakakyokai at 10:06| 研究部

2025年02月25日

miori個展 -生きるの中に-

76・77回展出品の箕崎美織さんの個展が開催されます。

2025年3月19日〜23日
会場:公園とパン
山梨県韮崎市藤井町北下条2105-2


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Twitter(X)でも個展情報を発信しています。
https://twitter.com/joryugakakyokai


出品者のみなさま。
個展開催の際はぜひDMを女流画家協会事務所へお送りください。
お待ちしております!!



posted by joryugakakyokai at 12:25| 作家日記

2025年02月24日

MEGUMI KAI EXHIBITION 2025

会友 甲斐めぐみさんの個展が開催されます。

2025年3月23日〜29日
新井画廊
銀座7-10-8


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出品者のみなさま。
個展開催の際はぜひDMを女流画家協会事務所へお送りください。
お待ちしております!!



posted by joryugakakyokai at 00:00| 作家日記

2025年02月15日

宇都宮美術の現在展

第6回宇都宮美術の現在展に
委員の青木俊子さんの作品が展示されています。

2025年2月16日〜4月9日
月曜休館
9:30〜17:00
宇都宮美術館
宇都宮市長岡町1077

【観覧料】
一般600円/大学高校400円/中学小学200円




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出品者のみなさま。
個展開催の際はぜひDMを女流画家協会事務所へお送りください。
お待ちしております!!



posted by joryugakakyokai at 00:00| 作家日記

2025年02月07日

1月の研究部の様子

新しい年になり初めての研究会でした。
寒い日でしたが29名の方が参加してくださいました。いつものように皆さん熱心にそして思い思いにモデルさんを描いていました。
今月のモデルさんはムービングポーズの時に音楽をながしながらポーズをしてくださいました。とても素敵なポージングで皆さん熱中して制作していました。

講師は生駒幸子委員でした。絵を制作する時には「何枚ものエスキースを作り納得のいくまで構図を考えると」と話されていました。またとてもはっきりと的確な講評をしてくださり、作品制作についての質問にもていねいに答えて下さいました。
そして研究会が終わりましてから新年会を催しました。絵についての会話が盛り上がり親睦が深まりました。これからも楽しい研究会にしたと思います。
  

研究部 黒沢裕子



個人の時間―蜜蝋画
11月研究部 講師:生駒 幸子


蜜蝋画についてお話します。蜜蝋を紙や板に塗り引っかいたり絵具で描いたりして仕上げる絵が蜜蝋画です。様々な使用方法がある中で気に入っているのは転写です。先ず、トナー液使用のコンビニのコピー機で絵の写真をコピーします。蜜蝋を塗った板にコピー紙を当て、スプーン等で強く押回し板とコピー紙の間の空気を抜きます。次にたっぷりの水を指でコピー紙に何度もかけまて、そっと指でこすりパルプを取り除くと、蜜蝋板に作品が転写されます。何度もトライすれば要領を弁えて美しい作品が出来上がります。
ある時、三日間、一日に五・六時間程アトリエの床に正座して腰を曲げて作品を仕上げました。翌朝、庭で花の手入れをしていた時よろけて倒れ起き上がれず、救急車で運ばれ八日間の入院する羽目になりました。足の血の塊が肺に運ばれエコノミー症候群の肺塞栓症で命の危機でもありました。現在は血液サラサラの薬を服用するのみですが、毎朝、食パンに蜂蜜をつける度にあの日を思い出します。それから三年の時を経てあの美しい魅惑的な色彩をもう一度手にしたい気持ちになりまして、そろそろ蜜蝋画にトライしたいと思っています。


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第77回女流画家協会展出品作「個人の時間」(130F)


posted by joryugakakyokai at 06:58| 研究部