2024年06月30日

5月の研究部の様子

5月の研究会の講師は渡辺由紀子委員でした。
女流画家協会展開催直前の研究会は、人数も多く、会員の方々も非常に熱心に講評を受けられていました。そのような中で渡辺委員は、とても丁寧に分かりやすく、会員の方の気持ちを大切に指導されていました。

またアーテストトークは、仕事を持ちながら長い間絵を描き続けた歴史と、絵を描くのに大切なのは自分の絵を客観視する事というお話でした。確固とした女流画家の姿勢に感動しました。


研究部担当委員  黒沢裕子




「私と女流展」
講師:委員 渡辺 由紀子


上野の旧美術館での女流展が開催されていた24才頃が初出品、今年で77回展なので55年余りが経つ事になる。我乍ら善くぞ続けてきたこの時の流れ、長くもあり瞬く間のようにも感じる。 

働きながらの制作には色々な出来事が押し寄せ、私は何を求め何を描き、どう表現すれば良いのか、自身の立ち位置や方向すら分からず悩み多き30代後半から40代、そんな折興味のあった仏教研究会というサークルに出会った。それは、仏教に就いて何も知らない者の勉強会で、建築家、小説家、ピアニスト、陶芸家など色々な職業の人が月一回集い、講義を聴きその後のお酒と軽い会食会でそれぞれの哲学や思いを語りあった楽しい思い出がある。
この時得たものが私の内に推積され、私の宇宙の神秘や真理、ミクロの世界の細胞分裂や増殖への興味が今に繋がっていると思う。

具象抽象を問わず客観を持った明快さと平面上に空気感を存在させる事を心掛けている。これが又、なかなか難しく正に修行の道と思う。女流展に出品してこれた事が私という人間が形成され、さらに掛替えのない友人達と出会えた場であった。これからも遅々とした歩みであるが精進し、まだ観えていない世界と出会いたいと思う。


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第77回女流画家協会展 出品作品/渡辺由紀子


posted by joryugakakyokai at 06:52| 研究部

2024年06月22日

北米・アンテロープキャニオンをテーマに


第77回女流画家協会展
奨励賞 作品「Antelope」 
日本画 F130 会友:甲斐めぐみ
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東京都美術館にて
甲斐めぐみさん
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初入選は1990年(第44回展)
大学院受験のため、大学に研究生として残っている時でした。

その後、働き始めて家庭と仕事の合間に細々とパステルなどで描いていたとのこと。

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(事務所保管の歴代の目録。旧姓でのめぐみさんの初入選記録がちゃんとありました!!黒ハート


24年の空白を経て、
2014年より再び女流展に出品。

今年で連続9回目の入選、奨励賞を受賞された甲斐めぐみさんに
制作コンセプトをお聞きしました。





作品コンセプト  会友:甲斐めぐみ


受賞作のタイトルは、「Antelope」です。
北米のアンテロープキャニオンを探検したときの感動をもとに描きました。

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(写真:アンテロープキャニオン)


作品のコンセプトは、水の流れが作り出す自然の造形美と、その悠久の時の流れを表現したく描きました。
アンテロープキャニオンは、現地の先住民ナバホ族が守っており、彼らはここを「岩を水が流れるところ」と呼び、長い年月をかけて水が流れ、その自然の力で形成された流線形の美しい渓谷です。

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現地でその岩肌を直接手で触れたとき、悠久の時をかけて水が流れた後をイメージすることができました。私たちの体も自然の一部であり、何か共鳴するものを感じました。制作のインスピレーションは、このアンテロープキャニオンの美しい岩肌に触れた時に湧き起こりました。

自然の造形美は、ゆっくりと時間をかけて、確実に日々変化しながらも形成されています。私もそのような自然の水が作り出す造形美のようにゆっくりと日々進化していきたいと思っています。


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(偶然にもこの写真はドルフィンの形のように見えます)




posted by joryugakakyokai at 19:57| 女流画家協会展

2024年06月18日

女流画家協会 山梨展


女流画家協会 初の山梨展が開催されます。

主催:一般社団法人 女流画家協会
後援:韮崎大村美術館

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77回展出品者の中から
委員・受賞者・山梨県在住作家
(のうち出品希望者)
合計110名の作品を展示します。

女流画家協会 山梨展
山梨県立美術館
県民ギャラリーA・B・C
7/13(土)〜19(金)
9:00〜17:00
(初日13:00〜、最終日14:00まで)
入場無料

開会式  7/13  15:30〜

どうぞご来館くださいますようお願い申し上げます。



posted by joryugakakyokai at 06:21| 女流画家協会展

2024年06月15日

白寿の微笑み



初出品で入選&受賞された春日井 由美子さんの作品
「白寿の微笑み」 奨励賞

審査室に作品が運ばれてきたときには、たくさんの薔薇の花が上がりました。(挙手審査)

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女流画家協会展会場にて、春日井 由美子さん。

ご自身のお祖母様を描いたとのこと。
親族の皆さんに、ご自身とお祖母様のお顔が似ている!と言われているそうです。
確かに・・・黒ハート
素敵な笑顔。
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「百歳で亡くなった祖母を描きました。」

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大切なお祖母様のお写真を見せてくださいました。
この写真をもとに、作品を描かれたのですね。




「祖母は早くに祖父を戦争で亡くしており、
孫やひ孫と過ごすのが一番の楽しみでした。
もうすぐお正月に会えると思っていた一昨年のクリスマス・イブに、戦死した祖父の元へ旅立っていきました。
私をとても可愛がってくれた祖母の最期を看取ることも出来なかった後悔、悲しみ……様々な感情が込み上がってきました。

気持ちの整理がつかない日々が続いた時、出品のお誘いがあり、
いつもそばにいて、
優しさと温もり、
そして無償の愛を注いでくれた祖母へ、
感謝の気持ちを込めて描きたいと思い描きました。」




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「現在、先生も居らず
今回の絵は、自問自答しながら描き、
段々祖母の顔に近づくと、会話をしながら描いたり…とそんな感じで進めてきました。」



春日井さんが見せてくださった制作過程の写真。
お祖母様を思って
心を込めて描かれているのが伝わってきます(感動あせあせ(飛び散る汗)


「病気になり、絵画をやめようかと思ったこともあったのですが、続けてきて本当に良かったと思っております。
長時間描くと腕が痛くなり、
リハビリに通うなど大変でしたが、
感動して泣く親戚や、祖母への愛情、優しさや温もりを感じられるとか、鳥肌が立った!…等、色々な感想を聞かせてもらうことが出来て、本当に嬉しく、出品に挑戦して良かったなぁ〜と思っています。」



春日井さま、
貴重なお話をお聞かせくださりありがとうございました。
絵を描く人生ってすごい、、、と
このブログをまとめながら改めて感動をかみしめています。


「受賞は、祖母も喜んでいる気がします。」

本当におめでとうございました。

 
web担当 中嶋しい



posted by joryugakakyokai at 22:12| 女流画家協会展

代表理事 中村智恵美 閉会のご挨拶


第77回女流画家協会展は
6月6日〜13日迄 東京都美術館で開催されました。

連日晴天に恵まれ、会場は多数の観覧者で盛況の内に閉場致しました。
関係者並びに応援して頂いている皆様に心より感謝申し上げます。

今年も数多くの嬉しい話題で盛り上がりました。
初入選者は15歳の高校生から、88歳までと幅広い年代層の方々の力作が並びました。また若い頃に出品していて子育てに入り、25年振りに出品され、2点入選された方もいらっしゃいました。

人生と共に絵を描く女性に寄り添っている者として何よりの温かなご褒美を頂きました。

皆様、お疲れ様でした、そしてまた来年お会いしましょう。

一般社団法人 女流画家協会
代表理事:中村智恵美





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第77回女流画家協会展 東京都美術館 1室


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中村智恵美「ストライプの静物」 130F


posted by joryugakakyokai at 00:00| 女流画家協会展

2024年06月14日

第77回展 無事終了いたしました

連日1,000人を超えるお客様に足をお運びいただき、
第77回女流画家協会展
(6/6〜13 東京都美術館)は無事終了いたしました。


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14:30に閉会してすぐに
専門業者が作品を壁から下ろす作業。

事務所委員と新委員、会員で
キャプションを外したり、ゴミを拾ったり
22室もある広いフロア全てを隅々まで点検。
綺麗にします。

フロアのカーペットについている糸くずも、
くまなく拾います(^^)ぴかぴか(新しい)

都美術館の係の方と
展示業者と、委員で最終点検をし、
これでやっと終了です。



そして本日14日は搬出日でした。
地下3Fにて。

今年は巡回展があるので、山梨へ出発する作品もあります。

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皆さまの大切な作品を
丁寧に丁寧に、お見送りいたしました。


来年もまた、皆様の作品にお会いできるのを
楽しみにしております!!


posted by joryugakakyokai at 19:09| 女流画家協会展

2024年06月10日

馬越陽子・遠藤彰子・中村智恵美・関口聖子 作品

第77回女流画家協会展
6月13日(木)までです。
東京都美術館

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馬越陽子 委員
(日本芸術院会員)
「人間の大河─生きる─」 130F
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遠藤彰子 委員
「聖金曜日」 100変
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中村智恵美 委員
(代表理事)
「ストライプの静物」 130F
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関口聖子 委員
「植物マンダラ」 130F
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posted by joryugakakyokai at 22:11| 女流画家協会展

越えてゆけ

東京新聞賞
作品「越えてゆけ」 F130号
会員 野美歩さん

おめでとうございます黒ハート

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制作コンセプト

屋久杉を描きました。
命尽きた屋久杉には上から新しい杉が覆っていき、1000年、2000年かけて二代杉として堂々とそびえ立ちます。その木肌には古木の抵抗で方向を変え、滞りながらも越えていく勢いと、生きたいと言う強い意志が見えます。

昨日の自分を追い越す、
目の前の課題を一つ一つ越える、
私も日々この木肌の勢いに似た気持ちで仕事と家庭と制作とに向き合っています。

屋久杉の木肌を通して、その勢いと生命力が、同じように日々を一生懸命生きている方々を励ますように伝わると嬉しいです。

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posted by joryugakakyokai at 21:27| 女流画家協会展

25年ぶりの出品者

今年、25年の空白を経て
出品してくださった作家がいらっしゃいます。


木村さおりさん

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2点入選ぴかぴか(新しい)

入選通知を確認したのは
小学生のお嬢様だったそうです。

「ママ、2つ、入選って書いてあるよexclamation×2」と伝えてくれたが、
落選を覚悟していた木村さんは
「まさかそんなわけない」と思ったそうです黒ハート

木村さんは第51回展を最後に
その後子育てや介護で、
長い間、制作ができなかったとのこと。

そろそろ色々なことが落ち着いてきた今年
お子様の使っていたベビーベッドを板キャンバスに仕立て
思い出の数々を、幸せを噛みしめながら制作されたそうです。


よく見ると
本当にベビーベッドです(^^)黒ハート

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作品タイトル
「表す事は生きる事。表していると生きてるって感じます。」
157.8×130.5


お子様と会話しながら制作を進めた木村さん。
ところどころ見える漢字や数字は
一緒に勉強をした時間。そのやりとりも作品にしている。

久しぶりの制作はすごく嬉しかったそうです。


女流画家協会には、木村さんと同じような境遇の作家も多い。
育児・介護で長く制作を休んでいても、
いつでも再チャレンジできる会。
気持ちのわかる作家が大勢おります♪









posted by joryugakakyokai at 20:16| 女流画家協会展

2024年06月09日

瀬谷 貴久枝 委員の作品モデル

第77回女流画家協会展
現在、東京都美術館で開催中です。(6/13まで)


瀬谷 貴久枝 委員の
作品 「play」 F130号

今日、絵のモデルになったお孫さんがご来館!
お願いしたら快く絵の前に立ってくれました♪目がハート

カエナちゃん 3歳です

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posted by joryugakakyokai at 20:51| 女流画家協会展