日時:2023年6月9日(金)14時
会場:東京都美術館 講堂
講師:清水康友 先生(美術評論家)
入場:無料
清水康友先生 プロフィール
美術評論家
早稲田大学にて東洋史、東洋美術史を学ぶ
美術評論家として美術史研究・講演・執筆活動・美術に関するコンサルティングを行う
美術誌に連載中
国際美術評論家連盟会員
元 日本美術専門学校特別講師
講演していただく前に、その内容などについて清水先生にお話を伺いました。
インタビュア:女流画家協会 事務所 代表 中村智恵美
取材日:2023年3月28日
清水先生:
今回の講演についての趣旨をお話しすると、いま女性で絵を描く方たちが公募団体の方やフリーの方々などに多くいらっしゃる。彼女たちがどうして今、絵が描けるようになったのか。そのためには先人達がかなりの苦労と逆風の中で絵を描く事を貫いてくれたから今日が有るという事。その過程で、朱葉会や戦後の女流画家協会の役割は非常に大きい。
特に女流画家協会は女性がある程度意識を目覚めさせて出来た組織なのでそこのところも講演でお話ししたいと思う。どういう経緯があって女流画家協会に至ったのかを、同協会のメンバーに限らず出来れば多くの女性画家に是非聞いて頂きたい。特に今日、ジェンダー論とかフェミニズムに関してよく論じられているが、そういうことが分からないで言葉だけでただジェンダーギャップなどと言っても意味が無いと思うので、具体性をもってそういう事が伝えられたらと思っている。
中村:
昔はお嬢様がちょっと描いているんでしょ?みたいなことを言われたんだけど。そういう事だけでも無かったと思う。特に専制君主のようなお父さんがいて、絵なんか描いて、と嫌がられたり、辛い事があったと思う。今は皆さん平等になったように見えるけど、勿論お金持ちの方もいれば経済的にギリギリで描いている方もいると思う。是非様々な方が共感できるようなお話も少しあればと思います。
清水先生:
今言われたけども明治時代のお父さんなんかは、家父長制の最たるものですからね。お父さんが箸をつけるまで、ご飯を食べられないような時代だった。
中村:
小さい頃は我が家もそうでした。
清水先生:
そういう中で絵を描くなんて大変な事だった。特に日本画だったら女性のたしなみでまだいいけど、油絵なんてとんでもないっていうことがね、ずーっと言われていた時代だったと思います。その中で絵を描き通したって事は大変な事だった。朱葉会は先に出来ているけど、確かに裕福な方達が多かった。そうで無ければ絵を描く事は出来なかったあの当時は。女流画家協会はいまお話ししましたが、意識を目覚めさせたでしょ、それを目覚めさせたのが三岸節子さん達だった。それで組織を作りそして自分たちが方向性を作った。その過程で離れる人もいた。新しく加わる人もいました。それはそれでいいと思う、会だから。そういうことを何度も乗り越えて今の女性たちが活躍してくれていると思っている。私は前向きでとらえてお話ししたいと思っています。
中村:
先生のお力で明るくお願いしたいと思います。楽しみにしております。
【女流画家協会展の最新記事】