皆さん、いつものように熱心に制作をされていて、和気あいあいとした研究会でした。
講師の吉川和美委員のアーチストトークも、今の作風に至るまでの興味深いお話でした。講評も本展出品作品に向けて具体的で的確な講評をしてくださいました。
今年も多くの方々の参加をお待ちしています。
研究部担当 委員:黒沢裕子
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1月研究部 講師:委員 吉川 和美
絵と故郷
古くは秦氏より桂川から引かれた農業用水が街を走り干ばつから土地を守りました。おかげで、まったり、はんなりした、伝統の京野菜は今も我々の食卓を楽しませてくれています。おいしい水が豊富に出る街、今も井戸水にたよっている家が少なくありません。そんな街で生まれた私は、ながく水をテーマに絵を描いてきました。最近は帰郷する事が多くなり、古い、暗い、和室に座ってじっと外を眺めていると、障子の下の明り取りのガラスの所がちょうど100号位のギャンバスに見え、その中に松の木が斜めにピッタリと入りました。暗い部屋から、逆光の松の木の力強い幹のうねり、我が家の盛衰をじっと見てきたと思うと、すごく感動し一気に絵を描き上げました。
江戸時代の版画家の作品と私の作品を比べてみるのは、恐縮ですが、彼らの作品も、日本の暗い部屋の窓、茶室、戸の隙間から眺めて描いた作品が、ヨーロッパに無い構図を生み人々を魅了したのだと思います。