今月は本展に向けて最後の研究会でしたので、ほぼ出来上がった出品作品の写真などの講評会でした。
私もそうなのですが、いざ締め切りになりますと気持ちが焦ってしまい、余計な事をしてしまう事が多いのも確かです、今一度客観的に自分の作品を見直す大切な時です。
今月の講師の川口智美委員はとてもたくみな講評で、あと少しの書き込みの必要か否をしっかりとこまかく指摘されていました。参加者の皆さんも納得されていました。
また、川口智美委員のアーチストトークでは、若い時から現在までの画家としての歩みと自分の作品との向き合い方を、経験をもとにしてお話してくださいました。とても実感のこもった内容に委員の真摯な姿を感じました。
今までの研究会の皆様のデッサンを愚直に繰り返す姿はすばらしく、私も自らを省みてしまいます。本展で良い結果がでます事を祈っています。
研究部 担当 委員:黒沢裕子
アーティストトーク
5月研究部 講師 委員:川口智美
女流画家協会展に初出展したのは、22歳の時でした。
会場に来て、他の作品の強さに圧倒され、批評会でも、弱々しい点を指摘され、心がぺしゃんこになって帰った日が思い出されます。
それでも続けてこられたのは、すぐ上達したり、上手く描けたりするわけでもないので、自分の弱さが何なのかなど考えながら、弱さを強さに変えるのではなく、自分が持っている何かを模索しながら描き続けて来たような気がします。
その頃は、泥の中から発芽して美しい花を咲かせる蓮の凛とした力強さに感動し、蓮を通して目に見えない神秘や生命力の強さを可視化したいと思いました。
世界の自然災害や疫病などの事象の中、現在は、自然への畏怖と同時に、そんな不安を一掃してくれるような存在として自然に宿る精霊を表現したいと思います。
描く対象を通して外の世界と自分の中の内の世界が響き合う瞬間があります。そんな感動を、かたちに出来ればと思っています。

第77回女流画家協会展 川口智美「赤い決意」120F
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