東京都美術館スタジオにて、11月研究会を開催しました。
11月の講師:委員 杉本 弘子
アーティストトーク
私は子供の頃から絵を描くことが好きで、与えられたモチーフを一生懸命描き、夢中になっていました。
ところが大学に入ると『自由に描きなさい』と言われました。自由…本来なら喜ばしいはずの言葉が、私には重くのしかかりました。何を描けばいいのか分からず、迷い、制作は苦しいものになってしまったのです。
先生が見かねてお題をくださったのですが、どこか無理をして描いている感覚がありました。
その“暗黒時代”は、なんと20年も続いてしまいました。
そんな私の転機は、義父母の介護のために移り住んだ山梨で訪れました。
窓の外に広がる山々、季節ごとに表情を変える木々。その自然の変化に心を揺さぶられました。そしてある日、樹皮の造形に出会い、自然からモチーフを授かったのです。その瞬間、私は“絵を描くのが好きだった少女”に戻り、無理にテーマを決めるのではなく、素直に描きたいものを描くことの大切さに気づきました。
私にとって樹皮を描くことは、自然の造形を写すだけではなく、過去の自分、今の自分、そして未来へと続くすべての繋がりや時の流れを表現することです。
絵を描くことが好きだった少女の気持ちと、今ここにいる私が重なり合い、樹皮を通して“全てが繋がって今がある”ということを伝えたいと思っています。

2025年第78回女流画家協会展「森の記憶」100S
杉本弘子
*****************************
研究会のスケジュール等はこちらでご確認ください
女流画家協会研究部
研究部 担当委員
広瀬晴美
前田礼子
【研究部の最新記事】