2024年11月23日

「ギャラリートーク 入江観×継岡リツ」

女子美スピリッツ2024
継岡リツ 展
作品展示会場風景はこちら

http://blog.joryugakakyokai.com/article/191151161.html




会期中の11月16日(土)
女子美杉並キャンバス1号館
110周年記念ホールにて

「ギャラリートーク 入江観×継岡リツ」

が開催されました。

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たくさんの聴講者のほか、
女子美の関係者や継岡委員の教え子、同僚の方々、ご友人、そして女流画家協会の関係者も会場に集まり、非常に和やかな雰囲気が漂っていました。

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おふたりの画歴や女子美でのエピソードなどを、
1時間にわたってお話しくださいました。

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入江氏のフランス留学中のお話では
ある日、授業に遅刻した入江氏に対して、フランス人の先生は全く怒ることなく、「君の次の作品では、あの部分がいいね」と伝えただけで去っていったそうです。
普通なら、小言の一つや注意を受けるだろうと覚悟していた入江氏はその対応に驚いた、と話されていました。

フランスから帰国後、職を探していた入江氏が吉江麗子氏(女流画家協会委員)の勧めを受けて女子美で教職に就くことになった経緯についても、お話の中でとても心温まるエピソードとして語られていました。



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継岡氏は自身が大学入試の際に赤緑色弱であると診断され、大きなショックを受けたとお話しされていました。
その影響で、しばらくの間、色を使うことを避けていたそうです。

今回の展示会場では、当時の暗い色調の作品と現在の白い作品が、意図したわけではなかったがたまたま左右の壁に分かれて展示されています。それを見た継岡氏が、「異なる作品だと思っていたけれど、根本的なものは同じだと改めて気づいた」と語られていたのがとても印象的でした。


ギリシャ神話に登場する星座の、点と点を結んで形を作る楽しさをテーマにしてきたこと、日本の空白や余白の美しさを白で残したいとお考えになっていること、そしてアクリル絵の具を使うことで、かつて苦手だった油絵の重ね塗りの制約を克服できたことなど、継岡氏の作品を深く理解するためのキーワードが散りばめられたトークでした。また、文化庁芸術家在外研修特別派遣で研修したイタリア・ミラノのブレラ美術学院での貴重なお話も、非常に興味深いものでした。




女性が絵を描き続けていくことについて

入江氏は「女性としての人生を歩みながら絵を描き続ける」ことについて、継岡氏を長年見てきた結果、あることに気づいたとお話しされていました。


あるトークイベントで、一人の卒業生画家が継岡氏にこんな質問をしたそうです。

「私は家で絵を描こうとすると、夫に邪魔されてしまいます。たとえば、取れたボタンをつけてほしいと言い出したりします。絵を続けるためにはどうすればいいのでしょうか?」

それに対して、継岡氏はこう答えたそうです。


「つけちゃえばいいじゃない。」


家事や子育ては、やらなければ先に進めません。だったら、さっさとやってしまえばいい、と継岡氏は考えてきたと言います。

入江氏はこのトークを聞いた際、まさに目から鱗が落ちる思いだったと語っていました。





また、心温まる女子美でのエピソードでは、こんなお話も。

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お二人はともに付属の校長を務められていたため、退任時の最後の卒業式で、感動的なエピソードを体験されたとのことです。

生徒たちが壇上で一人ずつ卒業証書を受け取る場面で、手に文字が書かれているのに気づいたそうです。一見、落書きのように見えましたが、次々と卒業証書を受け取る生徒たちにも同じように文字が書かれていました。文字を続けて読んでいくと、「先生、今までありがとう」といった内容が綴られていたのです。その瞬間、こんな素晴らしいアイデアを思いつく生徒がいる学校で自分が働いていたことに気づき、嬉しさとともに涙が溢れた(溢れそうになった)と語られていました。


女子美の温かな雰囲気が感じられ、とても心を打たれるものでした。



最後に、入江氏は継岡氏の作品に共感した点について語りました。
それは、美しい空間を作ることが絵である、ということ。それが一番大事だということです。描く部分と、意図的に描かないことで表現する部分、いずれも空間を表現していることに共感したとおっしゃっていました。








在校生より花束の贈呈。

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笑顔の継岡先生と入江先生

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教え子の皆様に囲まれて。

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帰りには皆様へ、
継岡先生から森永のお菓子「おっとっと」のお土産がありました。

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なんと、『おっとっと』は、継岡先生のお姉様が名付け親なのだそうです!当時、森永製菓にお勤めだったお姉様がこのネーミングを考案されたとのことです。



素晴らしいトークイベントを聴講させていただき、心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。


(寄稿:中嶋しい)


posted by joryugakakyokai at 13:34| 委員日記

2024年11月17日

女子美スピリッツ2024 継岡リツ


継岡リツ委員の個展が開催されています。

会場:女子美カレリアニケ

女子美スピリッツ2024
継岡リツ展

2024年10/17〜11/27まで


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継岡委員の作品の数々を
たっぷりご覧ください。





女子美術大学
杉並キャンバス。

校舎とイチョウ










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展覧会会場の女子美ガレリアニケのある1号館

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エントランス

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展示会場

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長谷川龍生氏の原稿
「継岡リツ その抽象飛行」

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11月16日(土)におこなわれた
「ギャラリートーク 入江観×継岡リツ」

の記事はこちら

http://blog.joryugakakyokai.com/article/191151345.html

継岡先生と入江先生トークスタート.jpg

posted by joryugakakyokai at 10:09| 委員日記

2024年09月29日

芥川(間所)紗織 今年は生誕100年記念

今年は芥川(間所)紗織氏の生誕100年記念ということで、全国の美術館で展示が行われています。

芥川(間所)紗織 生誕100年特設サイト
https://saori-100th-anniversary.com/

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芥川(間所)紗織
女流画家協会展出品歴年譜

(参考文献:
女流画家協会データベース、
横須賀美術館監修「烈しいもの。燃えるもの。強烈なもの。芥川紗織 生涯と作品」)

・1924 愛知県生まれ
・1947 東京芸術大学本科声楽部卒
・1948 作曲家:芥川也寸志氏と婚姻
・1954 第8回女流画家協会展
「池の中の顔」
「アンテナのある顔」
・1955 第9回女流画家協会展
「女T」
「女U」
女流画家協会盛岡展(川徳デパート)
「女」
・1956 第10回女流画家協会展
「建御雷神と建御名方神の力競べ」
・1957 第11回女流画家協会展
「大蟹譚」船岡賞
芥川也寸志氏と離婚
・1958 第12回女流画家協会展
「トリ」
「笑う」
・1959 第13回女流画家協会展
「作品A」
「作品B」
・1960 渡米
第14回女流画家協会日米交歓展
(ニューヨークリバーサイド美術館)
作品名不明
・1962 帰国
・1963 第17回女流画家協会展
「黒いシェープA」
「黒いシェープB」
建築家:間所幸雄氏と婚姻
・1964 第18回女流画家協会展
「赤と黒」
・1965 第19回女流画家協会展
「スフィンクス」
・1966 妊娠中毒症により逝去(享年41歳)





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(第20回女流画家協会展目録(1966年)には
誰からも慕われた紗織氏の突然の死を悼んだ仲田好江氏の追悼文が綴られている)






第70回記念の会報に掲載された紗織氏(他、女流委員)の写真

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2024年9月22日(土)横須賀美術館で
「生誕100年芥川紗織トーク&レクチャー」
が開催されましたので行ってきました。

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東京から1時間で行けるのに、リゾート感いっぱいです。

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前半45分間は横須賀美術館学芸員:工藤香澄氏のわかりやすい作品解説。

紗織氏は1950年代に彗星の如く現れ、短命だったこと。
当時、前衛女性作家は稀だったこと、などなどの説明。

後半15分では芥川麻実子様(芥川紗織長女)、柚実子様(次女)のトークがとても楽しかったです。
自宅はたいへん大きく部屋がたくさんあったが、ほとんどが紗織のアトリエ化していた、とのことでした。

麻実子様は、紗織氏と交流があったいわさきちひろ氏の絵のモデルになった方。
じっとするのが嫌いで、泣いて嫌がったが、
「いちごを買ってあげる」と紗織に言われ、渋々モデルをしたそうです。
ちひろの作品によく出てくる相手役の男の子は、麻実子様よりだいぶ小柄だったので、電話帳の上に乗っかってモデルをしたのだそうです。

また、
「お嬢様たちはまだ幼かったのであまり記憶にないかもしれませんが、紗織さんが制作していた様子など、覚えていることがあれば教えてください」
との質問に対しては、

「制作している姿しか、記憶にありません」とのこと。
紗織氏が、主婦・母親ということよりも制作中心の人生だったことがわかりました。
特に次女が生まれた1955年頃、猛烈に制作をしていて、一緒にご飯を食べたり・・・といった記憶はほとんどないそうです。

紗織氏はもともとは声楽家でしたので歌が上手。子守唄を歌ってくれたが、ものすごく声が大きくてうるさくて寝れなかった!とのこと(笑)

麻実子様たちの楽しいお話のおかげで、
今までとは違った側面から作品を鑑賞できそうな気持ちがしました。

寄稿:中嶋しい





横須賀美術館 展示会場。

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横須賀美術館では10/20まで。

東京都現代美術館 11/10まで
東京国立近代美術館 12/22まで
それぞれ展示があります。


posted by joryugakakyokai at 12:42| 委員日記

2024年07月27日

新委員のご紹介

7月23日(火)東京都美術館スタジオにて、委員会(定例会)が開かれました。

77回展の報告
山梨展の報告
その他

そして、新委員3名を迎えることができました。
新委員の写真を撮る係が欠席だったため、お顔のご紹介ができませんが、作品をご紹介します。

皆様、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。



香川ヒサ
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千野希帆子
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南場恭子
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posted by joryugakakyokai at 18:56| 委員日記

山梨ツアー!

女流画家協会山梨展
初日の開会式の後
場所をシャトレーゼホテルにらさきの森に移して、懇親会をしました。

ちょうど大村智先生のお誕生日ということで、
ホテルの料理長が腕によりをかけて作ってくださったケーキも登場!

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翌日は、バスで遠足。
ホテル→韮崎大村美術館→サントリー登美の丘ワイナリーへ。

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皆さんワイワイ楽しそう。



韮崎大村美術館では
たくさんの素晴らしいコレクションを鑑賞。

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また、大村先生自らのご案内によるご生家の見学もさせていただきました。

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貴重な体験をさせていただきました。



ところで
シャトレーゼホテルにあった顔はめパネル!
皆さん、写真撮りましたか?(笑)


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posted by joryugakakyokai at 17:58| 委員日記

2024年05月28日

中村智恵美 代表理事の特別講演のご案内

第77回女流画家協会展審査状況は、
X(旧ツイッター)https://x.com/joryugakakyokaで、様子をご紹介しています。


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中村智恵美 代表理事の特別講演があります。

第一美術協会のご招待により、
第93回第一美術展において下記の通り特別講演が開催されます。

講演テーマ「自作品ー過去と現在」

6月2日(日)
10:30〜12:00

国立新美術館 3F研修室AB
どなたでも受講できます(無料)

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posted by joryugakakyokai at 01:18| 委員日記

2024年02月17日

NEWS vol.15 会報

女流画家協会の会報
NEWS vol.15 を発行しました。

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協会員、および昨年の出品者の皆さまのお手元には
郵便でお届けいたしました。
まだの方は、もう間もなく届くと思いますので、楽しみにお待ちくださいませ。

Web上でもご覧いただけます。

https://joryugakakyokai.com/gaiyo/pdf/kaiho_15.pdf


posted by joryugakakyokai at 12:10| 委員日記

2024年01月21日

韮崎大村美術館に行ってきました

山梨県韮崎市にある
韮崎大村美術館に行って参りました。

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韮崎大村美術館は、
女流画家協会展に
韮崎大村美術館賞と大村文子記念賞をご提賞いただいている、大村智先生が館長を務められていらっしゃいます。

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2階の展望室から見える富士山。

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2024年2月25日(日)まで企画展「尾形純 絵画展 月冴ゆる庭」が開催されています。

日本庭園をイメージした作品とのことで
キャンバスの空間の中に石や滝などが見事に表現されていて、心が落ち着きました。




美しい山々に囲まれたロケーションの美術館で、
素晴らしい展覧会でした。

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(寄稿:委員 杉本弘子)





posted by joryugakakyokai at 20:41| 委員日記

2024年01月15日

X (旧 Twitter)

女流画家協会のX (旧 Twitter)のアカウントができました。

https://twitter.com/joryugakakyokai

今年の出品要項は近々サイトへアップ予定で準備を進めております。
それらの情報は、Xでもいち早くお知らせいたします。

また、出品者のみなさまの個展情報も発信しますので
ぜひDMを事務所へお送りください。
お待ちしております黒ハート





posted by joryugakakyokai at 23:44| 委員日記

2023年12月02日

一般社団法人 女流画家協会


女流画家協会は
一般社団法人 女流画家協会
(2023年11月10日設立)
に会名を変更いたしました。

今後ともよろしくお願いいたします。



posted by joryugakakyokai at 22:33| 委員日記