2025年05月24日

4月の研究部の様子


今月の研究会参加者は29名でした。
本展が間近ですので参加者は多かったです。

いつものように、モデルデッサンは熱心に取り組まれていました。画材は木炭、鉛筆のほかに、水彩やバステル、コンテ、など様々な表現方法を工夫している方々もいます。彩色をすると表現のはばも広がりますので、とても楽しそうに制作されています。

今月の講師は山口孝子委員でした。
本展出品作品の講評は励ましながらとても分かりやすく、最後の効果的な仕上げを指導してくださいました。
またアーチストトークでは、インドネシアなどアジアの影絵芝居の人形のお話や、女子美術大学での思い出、絵画制作の楽しさなどを話してくださいました。山口委員は私立の女子校で長いあいだ美術の教諭をしながら、絵を描き続けてこられました。女流画家協会にはそのように頼もしい先輩がたくさんいらっしゃいます。

寄稿/研究部担当:委員 黒沢 裕子




第77回女流画家協会展 出品作品
山口孝子 「コプト讃歌・踊る人」100F

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2025年05月16日

3月の研究部の様子


今月の女流展研究会の参加者は27名でした。
本展まであと2カ月、この時期は作品の仕上げに悩んでいる方々が多いのですが、自分の描きたい絵を描いて自信を持って搬入して頂きたいと思いました。

毎回熱心に裸婦などのデッサンをして基礎を勉強している態度は素晴らしく、絵を描き続ける力になっています。
最近体調が思わしくない方も、研究会に来て楽しくて元気になったと言っていました。

講師は岸 鹿津代委員でした。
女子美術大学の教授をされています。
講評はとてもていねいでそれぞれの描きたい絵に寄り添った指導をされていました。みなさんやる気になっていました。
ありがとうございました。
担当委員:黒沢裕子






手法について
講師:委員 岸 鹿津代



長年、キャンバスに油彩で犬を描いて来ましたが、今年の2月、水彩で植物を描いた作品で個展を行いました。父の介護があり家から出ることが難しく、仕事場に行けない事がきっかけでした。水彩は油彩とは異なり、一気に描き上げる方法が心地良く、モチーフが違うこともありましたが、構えず迷わず描けました。ただ今後モチーフも含めて完全に水彩に切り替えるのかは、現在悩ましいところです。油彩での仕事をやりきれているわけではないからです。

私の油彩の手法は、有色地のキャンバスに絵具を擦れさせて描くという手法です。それを変化させたく、ここ数年いろいろ試みています。キャンバスなのか、パネルなのか、白から始めるのか暗い色から始めるのか、そういう支持体の違いで、こっちの方が描きやすかった!ということもあるように思います。実際、水彩での試みは、その延長線上のものでもありました。

自らを縛らず、新たな発見をまだまだして行きたいと思っています。

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第77回女流画家協会展出品作「花降る」(100F)

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2025年03月01日

2月の研究部の様子

今月の研究会の参加者は28名でした。
最近の寒波で寒い日でしたが1月と変わらない人数でしたので、会員の熱心さを感じました。
最近の会員の方々のデッサンを見まして「上手になったな」と思い、継続は力なりを実感しています。何年も研究会に参加している方や1年間休まず来ている方も大勢います。私も頑張らないといけません!

今月の講師は辻井久子委員でした。アーチストトークは作品制作には「前進する勇気」が大切ですという、実感のこもったお話でした。作品講評も作者と共に話し合いながら講評をしてくださいましたので、皆さん納得していました。
本展も近づいてきましたので、気持ちを引き締めて研究会を催したいと思います。

  

研究部 黒沢裕子




講師:委員 辻井 久子


私は生まれた時から股関節が正常に入っていなくて臼蓋形成不全でした。
30代から個展を始め、40歳前から女流展に出し始め、50歳ごろから介護も入り体重が増え、ほとんど泳げなかったのですが水泳を始めました。クロールで50m位泳げるようになった頃、飛び込んでみないかということになり、スタート台に立ちました。用意ドンで飛び込めません。とても頭から飛ぶことができません。見かねたインストラクターが水の中から私の手を取り、私をプールサイドに座らせ、頭から水の中に入れという。それが怖くて怖くて、首を横に振って振って。そしてついに自殺する思いで ドブン!と入りました。あっ! 何でもない! 飛び込まなければ始まらない。

絵をかいていても前に進むには勇気がいります。答えがわからないところに向かっていく勇気がいります。「持続は力なり」を信じて、素直な気持ちが画面にでるように、前に進む勇気をもって描き続けていきたいです。


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第77回女流画家協会展出品作「栖の譜(風に吹かれて」(100F)


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2025年02月07日

1月の研究部の様子

新しい年になり初めての研究会でした。
寒い日でしたが29名の方が参加してくださいました。いつものように皆さん熱心にそして思い思いにモデルさんを描いていました。
今月のモデルさんはムービングポーズの時に音楽をながしながらポーズをしてくださいました。とても素敵なポージングで皆さん熱中して制作していました。

講師は生駒幸子委員でした。絵を制作する時には「何枚ものエスキースを作り納得のいくまで構図を考えると」と話されていました。またとてもはっきりと的確な講評をしてくださり、作品制作についての質問にもていねいに答えて下さいました。
そして研究会が終わりましてから新年会を催しました。絵についての会話が盛り上がり親睦が深まりました。これからも楽しい研究会にしたと思います。
  

研究部 黒沢裕子



個人の時間―蜜蝋画
講師:委員 生駒 幸子


蜜蝋画についてお話します。蜜蝋を紙や板に塗り引っかいたり絵具で描いたりして仕上げる絵が蜜蝋画です。様々な使用方法がある中で気に入っているのは転写です。先ず、トナー液使用のコンビニのコピー機で絵の写真をコピーします。蜜蝋を塗った板にコピー紙を当て、スプーン等で強く押回し板とコピー紙の間の空気を抜きます。次にたっぷりの水を指でコピー紙に何度もかけまて、そっと指でこすりパルプを取り除くと、蜜蝋板に作品が転写されます。何度もトライすれば要領を弁えて美しい作品が出来上がります。
ある時、三日間、一日に五・六時間程アトリエの床に正座して腰を曲げて作品を仕上げました。翌朝、庭で花の手入れをしていた時よろけて倒れ起き上がれず、救急車で運ばれ八日間の入院する羽目になりました。足の血の塊が肺に運ばれエコノミー症候群の肺塞栓症で命の危機でもありました。現在は血液サラサラの薬を服用するのみですが、毎朝、食パンに蜂蜜をつける度にあの日を思い出します。それから三年の時を経てあの美しい魅惑的な色彩をもう一度手にしたい気持ちになりまして、そろそろ蜜蝋画にトライしたいと思っています。


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第77回女流画家協会展出品作「個人の時間」(130F)


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2024年12月15日

11月の研究部の様子

11月は今年最後の研究会で15日金曜日に東京都美術館のスタジオでおこないました。
今月は舞踊をしている男性のモデル方で、動きのある大胆なポーズをとっていましたので、参加者の方々は新鮮な気持ちでデッサンを描いていました。
講師は服部 圭子委員でした。女流画家協会を長く担って下さっている委員です。皆さんは本展へ向けてのエスキースが少しずつできていたので、服部委員は具体的で細かな指導をしてくださいました。アーチストトークでは、豊富な作家経験と制作に対する真摯で厳しい姿勢がにじみ出ているお話でした。女流画家協会の長い歴史を思いますと、服部委員のように女性として作家として強く歩んで来られた委員の方に敬意を表したい気持ちになりました。ありがとうございます。  

研究部 黒沢裕子




講師:委員 服部 圭子


女流画家協会展に出品してから半世紀の歳月が流れました。
恩師の桜井悦先生、岡田節子先生のアトリエで絵を学びその後アトリエの助手をしながら、女性自身アカデミーカルチャ教室(講師 桂ゆき先生)で桂先生の後をつぎ教えていました。
桂ゆき(1913~1991)先生は戦前、戦後を通じて既成概念に囚われない布、紙、コルクなどのコラージュ作品で注目を浴びた画家で、制作の傍ら長期海外旅行(アメリカ、アフリカ他)で各国の人々が多様な環境の中での生活、交流などの体験を絵、本に残した日本女性の前衛画家のパイオニア的存在でした。
2023年6月に生誕100年の展覧会をゆかりのある下関美術館で開催され、現在も日本画壇に影響を与えている画家です。当時先生にお会いしお話しもしましたがユーモアがあり楽しく優しい先生の印象でした。
今迄女流の先生方に接し、芸術的、生活的にも困難な時代を乗り越えた画家として絵に対する厳しさなどのお話しを伺い女流画家協会の長い歴史を感じます。
絵はある技術を得れば誰にでも描く事は可能でありますが芸術を極めるには精神の気迫、情熱、探求などが大切ではないかと思います。私自身も常に自問自答しながらワクワクするdramaticな世界を創り出す絵を追求し終わりのない可能性を信じ美を探し求めて描き続けていきたいと思います。


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第77回女流画家協会展出品作「mademoiselle・華」(100M)


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2024年11月01日

10月の研究部の様子

10月の研究会参加者は27名でした。
講師は委員:山内恵美子さんでした。



山内委員の作品
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第77回女流画家協会展出品作「うつりゆく」100S



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2024年10月14日

9月の研究部の様子

残暑厳しい日でしたが、今月も31名の参加者がありました。
モデルさんはベリーダンスのコスチュームで美しい踊りのポーズをとってくださいました。   

講師は抽象作家の八木芳子委員でした。
参加者のエスキースや作品の講評は分かりやすく説得力のあり、皆さん熱心に講評を聞いていました、今月もいつものように和やかな雰囲気の研究会でした。

八木委員は女流展で活躍を続け、作品の半立体は、厳しさの中に誠実さが感じられる存在感のある作品です。
今回のアーテストトークは目黒の五百羅漢の寺のお話でした。東京にも五百羅漢像があると聞いて、私も是非訪ねてみたいと思いました。


研究部担当委員 黒沢裕子






「五百羅漢像寺」
講師:委員 八木芳子


私が7年前に世田谷区に越して来た時に知り、是非一度行きたいと思い、昨年目黒の不動前駅にあるその寺へ思い切って訪れました。開基の松雲元慶が独力で彫り上げた300体以上の羅漢像が安置されています。


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目黒不動尊源泉寺の近くにあり、入るとそこには顔の表情が違う木彫像が沢山並んでいてびっくりし、思わず「わぁー」と声を出しそうになりました。

ふと先を見ると一人の男性がスケッチをしていました。勿論写真を撮るのは厳禁です。ここでスケッチをして良いのかと思い、学生の頃、日本美術史で京都、奈良を訪問した時、仏像をスケッチしたのを思い出し、あの時代はお寺も仏像も好きでした。本当に表情が仏像名の様に感じられ、じっくり見ていると時間がどんどん過ぎてしまいます。
本堂に入るとお経が流れ、そこにも羅漢像が両側に安置されていて、誰もいない薄暗い堂内が重々しく、何か少し恐い感じで吸い込まれそうで長くいられなかったです。でも、訪れて良かったです。



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第77回女流画家協会展出品作「'24-Work」(100S)





posted by joryugakakyokai at 18:34| 研究部

2024年08月04日

7月の研究部の様子


酷暑の中でしたが参加者は30名でした。
昨年から今月7月までに新規会員が25名増え、初めて女流画家協会展に出品された方々も楽しく熱心に勉強しています。皆さんデッサンと来年に向けての作品制作を頑張っています。

8月の研究会は休会です。

7月の講師は小野口 京子委員でした。委員のアーテストトークはご自分の作品の原点「花」との出会いのお話でした。「花」に対する深い愛情を感じました。そして対象を見つめるデッサンをとても大切にされている制作態度に感服しました。


研究部担当委員  黒沢 裕子






「私の絵作り」
講師:委員 小野口 京子


からすうりの不思議な世界や生命力の強さ・繊細さなどを表現したいと思い15年。
前半の10年は水彩や油絵で楽しみ、後半の5年は「和紙」と「墨」にめぐり合い、墨のモノトーンの深さを味わいながら、美しい線に潜んでいる神秘の世界をさぐり、一夜かぎりの白い花を描いてきました。
そろそろ新たなテーマを模索していた頃、あでやかに咲き競う「アマリリス」に誘われ、「赤い花」に初めての挑戦。以来10年間は、心ときめくアマリリスの開花、一瞬に生気を失う花々たち、さまざまの終りの姿など花のいのちの表現でした。

本年の作品は2種類の花たちと心遊ばせながら、墨の流れの中で画面を構成してみました。この連日の猛暑の中、太陽が沈もうとする時、巻き込まれた花弁が噴き出すように動き、薄暗らがりで全開する「からすうりの花」、陽射しがさしこみ開花する「朝顔の花」。ふたつの花を画面に入れてみました。ふたつの花をつなぐ役目は朝顔の種の「デッサン」でした。


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第77回女流画家協会展出品作「盛夏」(121×182)


posted by joryugakakyokai at 09:05| 研究部

2024年07月12日

6月の研究部の様子

第77回女流画家協会展も終わり一息つく暇も無く、研究部の皆さんはモデルのデッサンに励み、また次の新たな作品に向けてのエスキースを制作されています。毎日、少しずつ積み重ねて描き続けていく事が大切だとつくづく思いました。めげない、あきらめない女流画家達がたくさんいました。

今月の講師は前田 礼子委員でした。
キャベツをモチーフにした作品への思いを、今の絵にも持ち続けているというお話でした。仕事を続けながら、具象抽象の垣根をこえた絵と対峙してきた姿勢にすがすがしさを感じました。


研究部担当委員  黒沢 裕子






講師:委員 前田 礼子

                                  
中学生の時から油絵を描き始めて、女流に出し始めたのは就職した年の33回展からです。
それから毎回出品し続けていますが、研究会で皆さんにお話しした通り、制作している中で構図や色の割合や下塗りの色の響き方などに、悩んでは描くことの繰り返しです。それでも、仕事で頭がいっぱいだったのに筆を動かしている時には、そこからするりと抜けて平穏な気持ちになったのです。こんなに悩んで描いているのに、描くことがフルタイムで働く自分を支えてくれていることに気づかされました。

美大に行っていない私は、いつか基本に立ち返って学びたいと思っていました。
退職して留学したイタリアでは、10か月の間、油絵のスタジオ、イコン画の工房、フレスコ画の工房を掛け持ちして、基本的な技術習得のため朝の9時から時には夜10時まで筆を持つ生活を堪能しました。

今もなお、悩みは深いものの、絵を描く時間を大切にしていきたいと思っています。

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(第77回女流画家協会展 「CABBAGE」 130F)



posted by joryugakakyokai at 06:27| 研究部

2024年06月30日

5月の研究部の様子

5月の研究会の講師は渡辺由紀子委員でした。
女流画家協会展開催直前の研究会は、人数も多く、会員の方々も非常に熱心に講評を受けられていました。そのような中で渡辺委員は、とても丁寧に分かりやすく、会員の方の気持ちを大切に指導されていました。

またアーテストトークは、仕事を持ちながら長い間絵を描き続けた歴史と、絵を描くのに大切なのは自分の絵を客観視する事というお話でした。確固とした女流画家の姿勢に感動しました。


研究部担当委員  黒沢裕子




「私と女流展」
講師:委員 渡辺 由紀子


上野の旧美術館での女流展が開催されていた24才頃が初出品、今年で77回展なので55年余りが経つ事になる。我乍ら善くぞ続けてきたこの時の流れ、長くもあり瞬く間のようにも感じる。 

働きながらの制作には色々な出来事が押し寄せ、私は何を求め何を描き、どう表現すれば良いのか、自身の立ち位置や方向すら分からず悩み多き30代後半から40代、そんな折興味のあった仏教研究会というサークルに出会った。それは、仏教に就いて何も知らない者の勉強会で、建築家、小説家、ピアニスト、陶芸家など色々な職業の人が月一回集い、講義を聴きその後のお酒と軽い会食会でそれぞれの哲学や思いを語りあった楽しい思い出がある。
この時得たものが私の内に推積され、私の宇宙の神秘や真理、ミクロの世界の細胞分裂や増殖への興味が今に繋がっていると思う。

具象抽象を問わず客観を持った明快さと平面上に空気感を存在させる事を心掛けている。これが又、なかなか難しく正に修行の道と思う。女流展に出品してこれた事が私という人間が形成され、さらに掛替えのない友人達と出会えた場であった。これからも遅々とした歩みであるが精進し、まだ観えていない世界と出会いたいと思う。


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第77回女流画家協会展 出品作品/渡辺由紀子


posted by joryugakakyokai at 06:52| 研究部