2024年08月04日

7月の研究部の様子


酷暑の中でしたが参加者は30名でした。
昨年から今月7月までに新規会員が25名増え、初めて女流画家協会展に出品された方々も楽しく熱心に勉強しています。皆さんデッサンと来年に向けての作品制作を頑張っています。

8月の研究会は休会です。

7月の講師は小野口 京子委員でした。委員のアーテストトークはご自分の作品の原点「花」との出会いのお話でした。「花」に対する深い愛情を感じました。そして対象を見つめるデッサンをとても大切にされている制作態度に感服しました。


研究部担当委員  黒沢 裕子






「私の絵作り」
講師:委員 小野口 京子


からすうりの不思議な世界や生命力の強さ・繊細さなどを表現したいと思い15年。
前半の10年は水彩や油絵で楽しみ、後半の5年は「和紙」と「墨」にめぐり合い、墨のモノトーンの深さを味わいながら、美しい線に潜んでいる神秘の世界をさぐり、一夜かぎりの白い花を描いてきました。
そろそろ新たなテーマを模索していた頃、あでやかに咲き競う「アマリリス」に誘われ、「赤い花」に初めての挑戦。以来10年間は、心ときめくアマリリスの開花、一瞬に生気を失う花々たち、さまざまの終りの姿など花のいのちの表現でした。

本年の作品は2種類の花たちと心遊ばせながら、墨の流れの中で画面を構成してみました。この連日の猛暑の中、太陽が沈もうとする時、巻き込まれた花弁が噴き出すように動き、薄暗らがりで全開する「からすうりの花」、陽射しがさしこみ開花する「朝顔の花」。ふたつの花を画面に入れてみました。ふたつの花をつなぐ役目は朝顔の種の「デッサン」でした。


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第77回女流画家協会展出品作「盛夏」(121×182)


posted by joryugakakyokai at 09:05| 研究部

2024年07月12日

6月の研究部の様子

第77回女流画家協会展も終わり一息つく暇も無く、研究部の皆さんはモデルのデッサンに励み、また次の新たな作品に向けてのエスキースを制作されています。毎日、少しずつ積み重ねて描き続けていく事が大切だとつくづく思いました。めげない、あきらめない女流画家達がたくさんいました。

今月の講師は前田 礼子委員でした。
キャベツをモチーフにした作品への思いを、今の絵にも持ち続けているというお話でした。仕事を続けながら、具象抽象の垣根をこえた絵と対峙してきた姿勢にすがすがしさを感じました。


研究部担当委員  黒沢 裕子






講師:委員 前田 礼子

                                  
中学生の時から油絵を描き始めて、女流に出し始めたのは就職した年の33回展からです。
それから毎回出品し続けていますが、研究会で皆さんにお話しした通り、制作している中で構図や色の割合や下塗りの色の響き方などに、悩んでは描くことの繰り返しです。それでも、仕事で頭がいっぱいだったのに筆を動かしている時には、そこからするりと抜けて平穏な気持ちになったのです。こんなに悩んで描いているのに、描くことがフルタイムで働く自分を支えてくれていることに気づかされました。

美大に行っていない私は、いつか基本に立ち返って学びたいと思っていました。
退職して留学したイタリアでは、10か月の間、油絵のスタジオ、イコン画の工房、フレスコ画の工房を掛け持ちして、基本的な技術習得のため朝の9時から時には夜10時まで筆を持つ生活を堪能しました。

今もなお、悩みは深いものの、絵を描く時間を大切にしていきたいと思っています。

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(第77回女流画家協会展 「CABBAGE」 130F)



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2024年06月30日

5月の研究部の様子

5月の研究会の講師は渡辺由紀子委員でした。
女流画家協会展開催直前の研究会は、人数も多く、会員の方々も非常に熱心に講評を受けられていました。そのような中で渡辺委員は、とても丁寧に分かりやすく、会員の方の気持ちを大切に指導されていました。

またアーテストトークは、仕事を持ちながら長い間絵を描き続けた歴史と、絵を描くのに大切なのは自分の絵を客観視する事というお話でした。確固とした女流画家の姿勢に感動しました。


研究部担当委員  黒沢裕子




「私と女流展」
講師:委員 渡辺 由紀子


上野の旧美術館での女流展が開催されていた24才頃が初出品、今年で77回展なので55年余りが経つ事になる。我乍ら善くぞ続けてきたこの時の流れ、長くもあり瞬く間のようにも感じる。 

働きながらの制作には色々な出来事が押し寄せ、私は何を求め何を描き、どう表現すれば良いのか、自身の立ち位置や方向すら分からず悩み多き30代後半から40代、そんな折興味のあった仏教研究会というサークルに出会った。それは、仏教に就いて何も知らない者の勉強会で、建築家、小説家、ピアニスト、陶芸家など色々な職業の人が月一回集い、講義を聴きその後のお酒と軽い会食会でそれぞれの哲学や思いを語りあった楽しい思い出がある。
この時得たものが私の内に推積され、私の宇宙の神秘や真理、ミクロの世界の細胞分裂や増殖への興味が今に繋がっていると思う。

具象抽象を問わず客観を持った明快さと平面上に空気感を存在させる事を心掛けている。これが又、なかなか難しく正に修行の道と思う。女流展に出品してこれた事が私という人間が形成され、さらに掛替えのない友人達と出会えた場であった。これからも遅々とした歩みであるが精進し、まだ観えていない世界と出会いたいと思う。


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第77回女流画家協会展 出品作品/渡辺由紀子


posted by joryugakakyokai at 06:52| 研究部

2024年05月12日

4月の研究部

4月の研究会の講師は橋 和委員でした。
抽象画の委員ですが、「人体を描くのが好きです。」と話されていました。
若き日のペルーや南米の旅の思い出など、もりだくさんのアーチストトークでした。
いつも何かに挑戦なさっている高橋委員の姿を素晴らしと思いました。

研究会の様子は、みなさん本展間際でしたので、とても熱心に講評を受けていました。

              
研究部担当委員 黒沢 裕子




4月研究部 講師:橋 和


半世紀余り前、今の研究部設立前のデッサン会について少し記しておきます。

主幹は、女流画家協会、月に一回実施、場所は日本美術家連盟会館のアトリエ、指導者は女流画家協会委員でした。
カリキュラムは、人体デッサン、クロッキー、作品の批評。
参加者は広く一般の方々、女流画家協会展の出品希望者、出品者。一般の方々が多く参加していました。
会の運営、事務一般、参加者の作品批評まで、当時は岡田節子先生と西田百古先生が担当しておりました。唯、随時、委員の方々がデッサン会当日には来ておりました。私は助手でした。

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posted by joryugakakyokai at 07:32| 研究部

2024年03月25日

3月の研究部

3月の研究会は新会員も増えまして、参加者は32名でした。
本展まであと2カ月と迫り、出品作品の講評は講師の照山ひさ子委員が、大変熱心に指導をしてくださいました。
またアーチストトークは絵を描く意義と絵描きの生き方についての興味深いお話でした。
参加者の裸婦クロッキーも水彩やパステルで彩色するなど、多彩な作品が多くなってきました、皆さん頑張っています。


研究部担当委員 黒沢裕子





3月研究部 講師:委員 照山ひさ子


30歳で油絵を描き始め、長い間団体展に出品してきましたが、絵画制作をライフワークにして良かったと思うことがいくつかあります。その中から3つ挙げたいと思います。

私は制作に取り掛かるまでにかなりの時間をかけて構想を練ります。真っ白い画面と向き合い、さてどのような作品を描こうかと考えを巡らせている時、様々な思いが頭の中を過ってまいります。自分の来し方、そしてこれからどのように生きていくべきかなど。絵画制作のおかげで、自分を見つめ直す時間をゆっくり持てたということがまず第一に挙げられます。

次に、人間は人生を閉じるまで目標を高く持ち、努力をしなければならないということを学んだことではないでしょうか。
そしてもう一つは、団体展に所属したおかげで、素晴らしい先輩方から多くのことを学ぶことができ、また同じ目標を持つ温かい心の仲間達と出会えたことだと思います。



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posted by joryugakakyokai at 22:23| 研究部

2024年03月03日

2月の研究部


2月の研究会は、38名とたくさんの方が参加してくださいました。都美術館のスタジオはいつになく熱気にあふれていました。

講師の平川きみ子委員のアーチストトークでは「絵を描くには体力と思考力が大切」とさとしてくださいました。
講評は平川委員と見学にいらした柴野委員の2人でして頂きました。本展前なので、講評はより内容が深くなり参加者の方には収穫の多いご指導だったと思いました。
また、研究会の後の懇親会では中村委員も加わって頂きまして、皆様と打ち解けた会話ができ親睦を深めることができました。
女流画家として、力を合わせていきましょう。


研究部担当委員:黒沢裕子
 




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2月研究部 講師:委員 平川 きみ子


梅はもう満開。        
皆様如何お過ごしですか。
毎日お忙しいと思いますが、元気でないと絵は思う様に描けません。絵を描く事は体力も思考力も必要です。
その健康の為に、運動したり、散歩はできれば毎日行きたいですね。ただ何気なく歩くのではなく、風景を事細かく観察し、樹木、花、草や葉っぱ1枚1枚の大きさ、裏表の模様、ぎざぎざになっていたり、穴が空いていたりと、これまた素晴らしい発見が沢山あります。素敵な発見ができるかどうかはあなた次第です。今後も前向きに行きましょう。
話は変わりますが、近年温暖化も進み大変な時代になってきました。私たちが出来る事は限られると思いますが、出来る事を少しでも見つけて行動出来ると良いですね。
今後も女性のパワーで頑張りましょう。
宜しくお願い致します。

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posted by joryugakakyokai at 10:06| 研究部

2024年02月19日

1月の研究部

令和6年初めての研究会は寒さの厳しい日でしたが、31名の方が参加してくださいました。
皆さん、いつものように熱心に制作をされていて、和気あいあいとした研究会でした。

講師の吉川和美委員のアーチストトークも、今の作風に至るまでの興味深いお話でした。講評も本展出品作品に向けて具体的で的確な講評をしてくださいました。

今年も多くの方々の参加をお待ちしています。

研究部担当 委員:黒沢裕子




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1月研究部 講師:委員  吉川 和美


絵と故郷

 古くは秦氏より桂川から引かれた農業用水が街を走り干ばつから土地を守りました。おかげで、まったり、はんなりした、伝統の京野菜は今も我々の食卓を楽しませてくれています。おいしい水が豊富に出る街、今も井戸水にたよっている家が少なくありません。そんな街で生まれた私は、ながく水をテーマに絵を描いてきました。最近は帰郷する事が多くなり、古い、暗い、和室に座ってじっと外を眺めていると、障子の下の明り取りのガラスの所がちょうど100号位のギャンバスに見え、その中に松の木が斜めにピッタリと入りました。暗い部屋から、逆光の松の木の力強い幹のうねり、我が家の盛衰をじっと見てきたと思うと、すごく感動し一気に絵を描き上げました。
 江戸時代の版画家の作品と私の作品を比べてみるのは、恐縮ですが、彼らの作品も、日本の暗い部屋の窓、茶室、戸の隙間から眺めて描いた作品が、ヨーロッパに無い構図を生み人々を魅了したのだと思います。

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posted by joryugakakyokai at 21:26| 研究部

2023年11月02日

10月の研究部

10月の女流画家協会研究会の参加者は31名でした。
いつものように皆さん熱心に制作されていました。

講師は金谷ちぐさ委員でした。
アーチストトークでは、絵を描く姿勢の本来のあり方を、とても理知的にお話してくださいましました。また作品の講評は
時間をかけて具体的な指導をされていました。
ありがとうございました。

寄稿/研究部担当 委員 黒沢裕子




寄稿:10月研究部 講師:金谷ちぐさ


今年の夏に、私は地元の小さな絵の集まりで、展覧会で入選するのはどんな絵なのか、について話をしました。
これはあくまでも私感なのですが、うまい下手ではなく「魅力のある絵」が入選します。これが描きたかったのだ、描いていて楽しかった、と作者の気持ちが感じられる作品です。話をしながら、これは100号を制作する、女流の研究生の皆さんにもつながるということに気がつきました。
 人はそれぞれ違った体験をし、違った考えを持っているはずです。自分の大切な思いを人に伝えるのが絵画だとすれば、その思考が深いものであればあるほど、見る人に感動を与えます。
一体、自分は何が描きたいのか・・・実は、私もいまだ見えてきません。つかめそうでつかめない、何かもやもやした物がいつもあることは確かです。
絵を描くということは、自分自身を見つめることだと思っています。

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posted by joryugakakyokai at 23:30| 研究部

2023年10月17日

9月の研究部の様子

9月の研究会は残暑の中、33名の方々が参加しました。
講師は堀岡正子委員でした。
アーチストトークでは絵の制作に向かう真摯な態度をお話しくださいました。
講評会では、次回の本展に向けてとても具体的なご指導をしてくださいました。

次回の研究会は10月27日(金)です。

寄稿/研究部担当 委員 黒沢裕子





私の作品について
寄稿 :9月研究部 講師:堀岡 正子  
       
  
作品の事は、私の過去から話さなければと思っています。

40年程前に、10歳で息子を白血病で亡くしています。今と違って当時は、生存率がとても低かったです。
最後の一ヶ月位病院で息子と過ごした。
病院は高台にあり、夕方なると、眼下の家々に灯りがぽつぽつと灯り、その景色が幸せのシンボルに見えました。
なぜ? 私達だけがと暗澹たる気持ちになりました。
日々変わる息子の表情を写真ではなくスケッチしようと思ったが残念ながらうまく描けない。
絵を習っておけばと後悔しました。それが動機で現在に至っています。

樹をテーマにしているのは、その時の想いから樹は何千年、何百年と生き続ける。
そんな樹を通して、過去、現在、未来の人々の営みを描きたい。厳しい過去から一筋の光が見えるそんな作品にしたいです。
ただ最近は樹その物でなく、樹を含めた風景画になり、その中で自然の厳しさ、暖かさが描けたらと思っています。

最後に絵を描く事は、息子からのプレゼントだと思っています。

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posted by joryugakakyokai at 21:29| 研究部

2023年09月06日

7月の研究部の様子

7月の研究会は女流画家協会展が終わった翌月にもかかわらず、34名の方々が参加してくれました。

関口聖子委員のアーチストトークは「生命」に寄り添う思いにあふれた素晴らしいお話でした。
また皆さんは熱心に関口委員の講評を受けていました。

8月の研究会はお休みでした。
次回は9月22日金曜日です。

(寄稿/研究部担当 委員:黒沢 裕子)

            
         




作品のうらばなし
寄稿:7月研究部 講師:関口聖子


私宅の玄関前に大きくなりすぎた枝垂れケヤキがありました。毎年、秋になると落ち葉がポーチの雨どいを埋め、溢れた雨水が壁に浸みこんだり、門の外の道路まで茶色に埋め尽くしたりするのです。
今年、思い切って青々とした葉のうちに根元から伐ってしまうことに決めました。根方にお清めの御神酒と塩を供えました。業者が来てチェンソーを樹肌に当てたとき、一緒に見ていた長男が、「かわいそうだね」と呟きました。二人とも同時に39度の熱を出しました。おまけに私は階段の下二段を踏み外してあばら骨を痛めもしました。玄関前を塞いでいた大きな木が取り払われ、庭に大空が帰ってきたのです。これは喜びたいことでしたが、何かが心に引っかかったままでした。
切り倒す前に記念にと撮っておいた沢山の写真を取り出して見ました。地面から吹き出るような活き活きとしたケヤキの姿がそこにはありました。それが地上から一瞬にして跡形もなく消えたのだと思いました。
私は7月の都美館で行われた研究会で、「いのち」についてのお話をさせて戴きました。女流展には「刻(とき)」(100号)という画題で、枝垂れケヤキを描き留めました。

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posted by joryugakakyokai at 06:50| 研究部